咬合平面の仮説

 ヒトにおける上下顎咬合運動にともなう咀嚼系骨体の形態変化は民族、住居・地域の自然環境、食生産物の種類、食事の摂取法、食習慣など多岐にわたるさまざまな因子によって、民族間に、さらに個体間にまで、形態的な特徴が現れることは周知の事実である。とりわけ咬合平面においてさまざまな因子により三次元的な構造上の変化が生じる。すなわち咀嚼運動による咬合力は歯牙歯列を介し食物を噛みくだく力となるが、その反面歯牙にとっては槌打される力となり、骨においては圧力となって作用する。したがって、咀嚼運動に関係する骨、筋、神経等の成長過程においてバランスよく咬合圧を吸収されるような構造に発育できれば、力学的に、また形態的にも正常と思われる咬合構造が構築されると考えられる。
しかし、実際にはヒトの個体の強弱、環境、食生活などの違いにより加齢とともに咬合構造体とくに骨構造が三次元的に変化し歪みが生じてくると思われる。
 通常咬合力は上下顎歯列上の咬合平面全域に作用しそれぞれの歯牙が分担、さらにその咬合力は歯牙歯軸を経て骨中に分散されるといわれている。